過去ログ - 白坂小梅「溜め池からの呼び声」
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7:名無しNIPPER
2016/09/09(金) 20:28:52.92 ID:mHQTk8ix0
その後は特に目立った問題もなく業務を終えられた。
朋にもらったおまもりのお陰か、心なしか気楽に仕事ができたのが良かったのだろう。

今は繁忙期でもないため、20時には会社を出ることができた。
昨日作っておいたカレーがまだ家にあることだし、寄り道せず帰ることにしよう。
夜でも明るい東京の街並みは、今の俺にとっては救いだった。
大の男が真っ暗な道を怖がるのも情けない話だが…

しばらく電車に乗った後、俺は入居しているボロアパートの前まで来た。
築40年。
経年劣化が目視できるアパートは、今の心理状態からすると限りなく不気味に見えた。
錆びて朽ちかけた鉄の階段を、足取り重く昇っていく。
新入社員の頃と違ってそれなりに貯金もあるし、そろそろ引っ越しも考えた方がいいかもな…

そして部屋まで辿り着いた俺は、着替えもそこそこにベッドへ倒れ込んだ。
おまもりが気休めになったといっても、朝から張り詰めていた気持ちがすべて消えてなくなったわけではない。
なんだか少し眠気もある…
何ならこのまま一眠りしてもいいかな…

などと思いかけたところで、ハッと目が覚めた。
もしこのまま眠ってしまえば昨日と同じ夢を見るのでは?
それは嫌だ。それだけは絶対に嫌だ。
ゼリーに口を塞がれ窒息していく感覚が蘇る。

マズい!
とにかく頭をシャッキリさせないと!

俺は勢いよく立ち上がり、冷蔵庫に保管していたペットボトルのコーラを飲み下した。
突き抜けるような刺激が俺の喉を伝う。
そうだ。カレーを温めよう。
カレーを。温めないと。
違う。行かなきゃ…行かないと…


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