26: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:01:49.81 ID:jzgcTAa+0
裕子(――私、なんてことを……)
怒りに任せてプロデューサーを吹き飛ばしてしまってから半日。未だにショックが抜け切らない裕子はゆらゆらと空間を
漂いながら、ぼんやりと考える。
裕子(……どうして私、プロデューサーにあんなことを……あんなこと……? 悪いことなの?)
思わず首を傾げそうになった裕子は、すぐにぞっとして自分の思考を改める。プロデューサーを傷つけたのは悪いことで、
力を制御出来なかった自分は未熟だと。
裕子(これだけは忘れちゃダメ! 絶対にダメ! プロデューサーのことはどうでも良くなったりなんかしない!!)
実のところ力が強まる度、どこかで自分の大事なものが消えていっている感覚も味わっていた裕子にとって、今日の出来事は
あまりにも多くの感覚を奪い始めており、それが僅かに残った彼女の恐怖心に刺激を与える。
裕子(でも、どうでも良くないならどうやって謝ったら……サイキックで操って……ダメダメ!? そうじゃなくて……!)
消えていった大事な感覚の代わりにさらに力を増した裕子は、地球を見下ろし月と太陽を見ながら必死に考える。
そう、彼女は現在宇宙空間を漂いながら、半日前の出来事の反省を行っていた。裕子の周囲は空気に満たされた
空間が固定されており、人体に有害なはずのありとあらゆる宇宙線は、彼女のサイキックによって無力化されているのだ。
この行為は脳の解放率が55パーセントを超えたために行えるようになったのだが、そんなことをもはや気にすることすら
しなくなった裕子は、ただただプロデューサーと仲直りする方法を見つけるためだけに、残った人間性をかき集める。
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