22:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 00:48:08.12 ID:XVLZGl8mo
「へえー……ん、今気付いたけどこっちに置いてあるのは……画集?」
闇の中で縮こまっていたところをふと、彼女の声に呼び戻された。
外は今にも雨が落ちてきそうな暗さなのに、部屋の中はそんなことを微塵も感じさせないくらいに明るい。
23:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 00:49:04.82 ID:XVLZGl8mo
「へぇー、聖書ってそんなに面白いんだ? じゃあ今度アタシにも貸してよ!」
「楽しみにしてるからねー!」
「おおー真っ赤なドレスじゃん! 真紅! これは雰囲気変わりそう……」
24:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 00:50:23.11 ID:XVLZGl8mo
私を闇夜に浮かぶ月とすれば、伊吹ちゃんはその闇を切り裂くように照らす太陽。そんなところかしら。
あの太陽は、私にはない魅力を全て持ち合わせているかのよう。
揺らぐことも沈むこともない、永遠にも思える輝きに満ちたその姿は、嫉妬してしまいそうなほど美しくて。
25:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 00:54:31.39 ID:XVLZGl8mo
一旦ここで切ります。続きはまた明日以降に。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
26:名無しNIPPER[sage]
2016/09/11(日) 04:06:01.65 ID:bEKEE1mio
乙です
27:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 07:32:08.73 ID:XVLZGl8mo
これからPVの打ち合わせらしい。伊吹ちゃんは風のようにこの部屋を出ていった。
にぎやかで心が躍動するトリオから再び、この部屋に静寂が舞い戻る。
そして、私以外の誰にも分からないくらいほんのわずかだけど……部屋が暗くなった気がする。
28:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 07:33:25.89 ID:XVLZGl8mo
「しかし、こうも核心を突かれると、心を見られてるようでドキッとするんだよ」
本当は何も見えてなかったりするものよ? ただ、適当に落としていても反応があるから、ね。
「悪いことなんて何もしてないのに、怒られると思っちゃう感覚っていうのかな」
29:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 07:34:21.92 ID:XVLZGl8mo
それにしても、あの時は本当に上手くいったものだと思う。
私がギリギリのところで踏みとどまって、彼もそれに気づかないでいてくれた。
彼の心底慌てた顔が、何よりの証拠だった。
30:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 07:35:14.11 ID:XVLZGl8mo
『え……?』
『そ、それって』
『…………』
31:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 07:36:20.97 ID:XVLZGl8mo
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32:名無しNIPPER[saga]
2016/09/11(日) 07:38:22.23 ID:XVLZGl8mo
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「今日もまた、雨なのね」
ため息とともに、ぽつりとこぼす。窓の外を見やる。空はまだ、分厚い雲に覆われていた。
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