過去ログ - 橘ありす「プロデューサーさんにデートに誘ってもらいたいんですけど、、、」
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1: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:23:07.74 ID:JJTdVdlE0
「自分がどうするかということもですけど、誰にどうさせるかということもとても大切

だと思うんです!」

...ありすちゃんは今日も、タブレットで見つけてきたカッコイイ言葉を得意げに語っ

ています。

今の流行の台詞に直すとしますと、『こんな名言を知っている?』というところでしょ

うか。

...いえ、そもそも誰かの名言なのかどうかさえ存じ上げませんが。

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2: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:24:24.18 ID:JJTdVdlE0
「文香さん、どうかされましたか?」

少しばかり考えにふけっている間に、先ほどまで得意げな顔で胸を張っていたありすちゃんが、180度表情を変えて不安げに私の顔を覗き込んでいました。

同じ事務所の的場梨沙さんは、『自分のような小学生のアイドルにはロリコンのファンしか付かない』と豪語していましたが、同年齢のありすちゃんに限ってはこの理屈の遥か外に存在しているといっても間違いないでしょう。
以下略



3: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:25:21.33 ID:JJTdVdlE0
...こんなありきたりな嘘で場を誤魔化すなんて、しかもよりによって天使であるありすちゃんをお相手に。

きっと犬畜生にも劣るわたしのことを天は許してはくれないでしょう。

それでもかまいません。
以下略



4: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:26:27.03 ID:JJTdVdlE0
「...大丈夫です。ちゃんと聞いていますから」

「よかったです、もしかしたらとてもお疲れなのかと思いました」

えへへとはにかむありすちゃんの笑顔を高画質で脳ではなく心に刻み込みながら私はありすちゃんに続きを促しました。
以下略



5: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:27:00.34 ID:JJTdVdlE0
...デート!
ああ...!
今...ありすちゃんは、プロデューサーさんと二人で遊びに行くことを「デート」と表現しました。

今まで、「あくまでも仕事の一環として」「宿題の社会見学として」という形で、私と2人で話すときでさえ照れをごまかしながらでしたありすちゃんが、デート!
以下略



6: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:27:37.84 ID:JJTdVdlE0
「いままで、プロデューサーさんには仕事以外でも色々なところに連れ出していただきました

「ええ、そのことについてはとても感謝してますし、とても楽しい思いをさせて頂いています

「でも、ですね。実は、少し前からずっと、私からプロデューサーさんをお誘いするばかりでして、、、
以下略



7: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:29:00.44 ID:JJTdVdlE0
かかかかか可愛いいいいいいいい

...駄目、駄目、これは駄目です。

思います、想います、親愛いますとも
以下略



8: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:30:51.74 ID:JJTdVdlE0
...可愛いなんて表現では表し切れないですとか、可愛いと言われるのが恥ずかしいですとか。

そういう表面的なお話をありすちゃんはしているのではないということは分かっています。

分かってます、分かってますよ?
以下略



9: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:31:41.19 ID:JJTdVdlE0
「文香さん、ダメです。プラン1も2も3も駄目でした、、、」

...ああ、ありすちゃん。

こんな情けない私でごめんなさい、あまりの罪悪感に目頭が熱くなってきました。
以下略



10: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:32:31.66 ID:JJTdVdlE0

事実として、恋愛小説のあの高校生のキャラクターも推理小説に出ていた人間関係にはとても鈍感キャラクターでさえも、このような展開の際は女の子の意図を理解してデートに誘っていました。

「ううう...。どうしましょう、文香さん。どんどんオフの日が仕事につぶされていきます、、、」

以下略



11: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:33:35.35 ID:JJTdVdlE0
「私って魅力がないんでしょう「それは違います」

...どうして、ありすちゃんの気持ちに寄り添ってあげないのですかと問いかけたとしても、あの方は年齢であるとか、仕事であるとか、ありきたりな正論で煙に巻くのでしょう。

年端もいかないアイドルと一定の距離を保つプロデューサーの形は、今更言葉にするまでもなく正しくて。
以下略



12: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:34:06.86 ID:JJTdVdlE0
それでも、ありすちゃんが悲しい顔を浮かべなければいけない常識ならば、それは壊さなければいけないと私は思うのです。

「...おそらく恥ずかしがっているだけですから」

...誰かに咎められたのかもしれません、一線を越える勇気を持てなかったのかもしれません。
以下略



13: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:35:57.24 ID:JJTdVdlE0
「ど、どうしてですか。ここまでしたのにデートに誘ってもらえないなんて、プロデューサーさんはやっぱり私のことなんて、、、」

...ああ、ごめんなさいありすちゃん。

やはり至らない私のことを許してください。
以下略



14: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:36:25.16 ID:JJTdVdlE0
「一回使った文字の使用制限を掛けたしりとりで追い込んだ時も、、、」

...プロデューサーさんの残り文字を「い・う・え・こ・と・に・て」にまでしましたのに、「でえとにいこう」ではなく「うえいとにこで」と答えられて逃げられてましたね。

ドヤ顔のプロデューサーさんを歯を食いしばって上目で睨みつけていたありすちゃんも写真に収めたいほど可愛かったですが、、、
以下略



15: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:36:54.57 ID:JJTdVdlE0
「負けたらなんでも言うことを聞く、のゲームに引き込んだ時も!」

...あれは見事でしたね。

...あえて負けておきながら、罰ゲームを決めるタイミングで通りすがった私がプロデューサーさんに映画のチケットを渡すことを切っ掛けに空気を作り、無理やり罰ゲームの内容を指定する作戦をありすちゃんが考えて来た時は、素直に感心を覚えました。
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16: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:37:22.69 ID:JJTdVdlE0
「せっかく催眠術まで覚えたのに、、、」

...思い返すと、ある意味これが一番成功に近かったように思えますね。

...5円玉をプラプラ揺らすありすちゃんの姿に悶えているプロデューサーさんの姿はそれはそれは愉快なものでした。
以下略



17: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:38:38.98 ID:JJTdVdlE0

「もう何も方法が思い浮かびません、、、やっぱり、私じゃ駄目なのかな、、、」

...今日の初めはあんなに楽しそうだったありすちゃんの顔が、今はもう見る影もないほどに曇り切っています。

以下略



18: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:39:14.15 ID:JJTdVdlE0
練習は完璧、体調は万全。

なんですけど、どうにもいつもの調子が出ないままに刻一刻と迫る本番の時間を前に冷や汗が頬を流れます。

原因は、認めたくありませんが分かっています。
以下略



19: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:40:03.36 ID:JJTdVdlE0
「あの、プロデューサーさん」

「おう、どうした橘。腹でも減ったか?」

きっと泣いたり、怒ったりしたいはずの、隣で私のレッスンに付き合って下さっているプロデューサーさんはいつもどおりのふざけた様な振る舞いで応えます。
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20: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:41:22.01 ID:JJTdVdlE0
もっと早く伝えるべきだったのは分かってはいました。

なのに、私が素直にならなかったせいでこのタイミングまで伸びてしまって。


以下略



21: ◆E055cIpaPs
2016/09/11(日) 00:41:57.55 ID:JJTdVdlE0
「お願いが、あります」


もしも砕けても、今よりも駄目なことにはならないでしょうから。

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