過去ログ - 男「舞踏会なんて滅べばいいのに……」
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24: ◆uw4OnhNu4k[sage saga]
2016/09/12(月) 23:36:34.16 ID:jqHnJYhW0
大きなぶどうが目の前に出された。

夕飯すら食べたくない気分だったが口に放り込んでみる。

驚いた。

男「……これ、おいしい」

母「高かったんだから」

どうして僕はこんなにも幸せなのに、幸せではないのだろう。

生まれたときから母親からこんなにもまともで深い愛情を注いで貰って。

父親からはそれなりに楽しいものや必要なものは全て適度に買ってもらって。

なのにどうして、まるで何も手にしていないかのような不満を抱えているのだろう。

もっと欠落した家に生まれていたら。

意地でも異性を手に入れようとしたんじゃないのか。

男「もういらねーよ」

小皿を突き飛ばす。

母親が何か言ってるのを無視して自室にこもる。

男「あーあ、俺、生きてる価値ないな」

本当にその通りだった。

世界が理不尽だとしょっちゅう文句を言っておきながら、自分自身が何一つ理も筋も通したことがなかった。

空っぽだった。

空っぽとは、つまり、自分の頭の中は自分のことでいっぱいで、他人の幸せを本気で考えたことなど今まで一度もなかったのだ。


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