11:名無しNIPPER
2016/09/12(月) 22:07:56.03 ID:Tl+Mq8TL0
「……いってらっしゃい」
嵐が去り、混乱だけが残った。
しばらく呆然としていたが、徐々に事の重大さに気づく。
こうなったらもう、愛梨の記憶が抜け落ちていることを祈るしかない。
愛梨のことだ、きっとなんとかなるだろう。
最近熱心にビジュアルレッスンをしていたからか、切ない表情も様になってきたな、今度ドラマのオーディションに出させてみるか、など現実逃避気味な思考しか出てこなかった。
「……暑い」
ひどく汗をかいた上に、愛梨と抱き合っていた熱が残っているのか、体が熱くてしょうがない。
こんな状態では頭も回るわけがない。
冷たい飲み物を求め、ソファーから腰を上げる。
おぼつかない足取りで冷蔵庫へ。
扉を開ければ、きっとこの暑さは解消される。
そしてその願いは、冷蔵庫に入っていた『それ』を見て、叶うこととなった。
目に入ったのは、昨晩まではデスクに置いてあったはずの飲み物。
南国が似合いそうなジュースが、手つかずの状態で冷蔵庫に鎮座していた。
「……あれ?」
汗は一気に引いた。
おわり
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