過去ログ - 星輝子「第3.5回 フレ志希のケミカルカオスキュートラジオ(仮)」
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◆mBiXSAH/fw
[sage saga]
2016/09/13(火) 23:54:04.75 ID:/wRsch+H0
TRACK2.THE TIME BEFORE DAWN
姿見の前で己の姿を確認する。
ぼさぼさに肩まで伸びた髪は無造作に後ろで一つに束ねた。
髪で視界を塞がないためには髪を切るか、伸ばして束ねるという二択。
髪は切るといずれ伸びてくるため、俺は後者を選択していた。
腰に携えたのは、腕の長さほどの無骨な剣。
刃の太さが手のひらほどあるため、かなりの重量で村では俺しか振ることができない。
妻が繕ってくれた服。
村で一番身長が高いため、合う服が見つからないのだ。
これから汚してしまうことを考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
鏡越しに心配そうな目をした妻と目が合った。
俺は振り返る。心配はないと、語りかけるまなざしで妻を見つめる。
「必ず無事で帰ってきてね」
愛しき妻の言葉。絶対に忘れないと神に誓い、ぬくもりに触れながら別れを告げる。
「必ず帰る。今の俺を覚えていてくれ。次に会う時、俺は変わっているだろう」
「そんなことないわ。いつまで経っても、あなたはあなたよ」
戦場が俺を変える。
収穫で茸を狩るときさえ命のありがたさと尊さを感じるのだ。
人の命を奪ったとき、以前と同じ心である自信はなかった。
妻に向けて言葉を紡ぐことができない。
代わりに最近5歳になったばかりの息子に声を掛ける。
「ママを頼んだぞ。お前がしっかり支えるんだ」
「うん! 任せて! パパもお仕事終わったら帰ってきてね!」
「あぁ。帰るとも。必ず」
――どんな心であったとしても。
息子とグータッチして別れる。
妻の心配そうな顔と息子の屈託無い笑顔を胸に抱き、歩き出す。
行く先は俺にとって、最初の戦場であった。
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