過去ログ - 星輝子「第3.5回 フレ志希のケミカルカオスキュートラジオ(仮)」
↓
1-
覧
板
20
7
:
◆mBiXSAH/fw
[sage saga]
2016/09/13(火) 23:57:35.67 ID:/wRsch+H0
TRACK5.RAIN OF TEARS
雨が降ってきた。
俺は男の姿を観察する。
禿頭で丸太のような太い手足。
腰には俺と似た剣を携えているが、刃が違う。
顔も鮮明に映りそうなほど、磨きぬかれた刃。
そして男が放つ気迫に思わず息を呑む。
男は飄々と言う。
「このまま居たら風邪引くのう。さっさと兵舎へ向かおうぞ」
「……そうだな」
足早に駆ける男の後ろを付いて行きながら思考する。
味方にこんな兵士居たか?
俺は昔から茸の違いは瞬時に分かるが、人間の見分けは苦手だった。
男の身のこなしや体幹のブレの無さから並みの使い手ではないことが分かる。
いったい何者……?
初戦の疲れで頭の回転が悪い。
即座に戦闘になっても良いよう、心構えだけして男の背中を追う。
「お主すごいのう」
男が突然声をかけてきた。
「何のことだ?」
「ワシの速度に付いてこれるだけでも優秀じゃ。戦場でも山ほど斬っていたろう。
それで初戦とは末恐ろしい」
唐突な賛辞に驚く。緊張の糸が少し緩むのを感じた。
「褒められるようなことはしていない。俺は俺のために剣を振っただけだ」
「ふっ、変わったヤツじゃな」
……何事も無く宿舎に辿り着いた。男は言う。
「今日は疲れたろう。もう休むか?」
「いや。そこで会ったのも何かの縁だ。一杯付き合ってくれ」
「よかろう。祝杯をあげようぞ」
念のため一杯やりつつ様子を見たが、どうやら思い過ごしだったらしい。
男は俺と同じ身の上だったようだ。
家族のために剣を振るう頼もしき友人ができ、俺は安堵した。
先ほどの感情は叫びで薄れ、互いの故郷の四方山話に花が咲き、酒が全てを忘れさせてくれた。
<<前のレス[*]
|
次のレス[#]>>
23Res/33.36 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
板[3]
1-[1]
l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。
過去ログ - 星輝子「第3.5回 フレ志希のケミカルカオスキュートラジオ(仮)」 -SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1473778242/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice