過去ログ - 星輝子「第3.5回 フレ志希のケミカルカオスキュートラジオ(仮)」
1- 20
9: ◆mBiXSAH/fw[sage saga]
2016/09/13(火) 23:59:58.48 ID:/wRsch+H0

TRACK6.REWARD FOR BETRAYAL

シロタマゴテングタケ山掃討戦。
俺たち特選部隊は今日も戦場を駆けていた。

キノコの地名が付くときは、そのキノコが生息する率が高いことを指している。
平原のようになだらかな地形は食用キノコが多く、険しい山・岩場には毒キノコが多く生息している。

今回の作戦はそんなことも露知らず迷い込んで、篭城決め込んでいるタケノコ帝国軍の部隊を掃討する作戦だ。
毒キノコ生息地帯でも山は山。地形の高いところを抑えられるのは嫌だという王国参謀様の采配である。

いつもどおり男と俺が先陣を切り開いていく。
……おかしい。手薄すぎる……。
現れるタケノコ兵士を斬り捨てながら、鏡面刃で後方を確認する。
そのとき鏡面刃に映った姿に目を疑う。
おい……嘘だろ……。

そのとき、鏡面刃に映ったのは、俺に剣を振り上げる男の姿だった。

即座に頭を切り替え、男の剣を振りかぶった角度から最適な回避行動に移る。
しかし想定以上のスピードで斬り下ろされる。野郎……ずっと手を抜いてやがった!
すんでのところで刃をかわして体勢を立て直し、一直線最速で斬りかかる。
男は斬り払えず、鍔迫り合いの形となった。

俺は吼える。

「お前はずっと俺たちを騙していたのか!」

「……あぁそうじゃ! ワシはタケノコ帝国のスパイじゃ! ずっと優秀な兵士であるうぬの命を狙っておったわ!」

「じゃあ家族が囚われているというのも嘘か!」

「嘘なものか! ワシがうぬの命を取らなくてはワシの娘が……たった一人の娘が……。
そのためにうぬには退場してもらう!」

「自分の家族だけ幸せならいいのか! 俺たち部隊の絆は……嘘だったのか!!」

「そんなものうぬらが勝手に感じていただけに過ぎん! ワシには家族さえ居れば十分なのじゃ!」

特選部隊員にも動揺が広がる。
俺は声を上げる。

「ヒャッハァァァアアアアアアアアアア!! 動揺するな戦友!! ヤツは俺に任せろ! 手を出すな!
各々自分の敵に集中しろぉおおおおおおお!!」

鼓舞された部隊員が一斉に声を上げる。

『……ヒ……ヒャッハァァァァアアアアアアアアア!!』

『自分と周囲の人間さえ良ければいい』とお前は言った。
それがお前の答えか。ならばお前は……俺の敵だ。

「ふっ。良き統制じゃ! じゃがうぬがワシに勝てるかな? 模擬戦でも負けたことなど無いぞ!!」

百も承知である。
下手をすれば敵よりも多く刃をぶつけ合った。
パワーもスピードも歯が立たず、読み合いですら負ける。
だが、それは昨日までのこと。

「昨日までの俺と一緒にするなぁぁあああああ! 今日の俺は昨日の俺より強いんだぜぇえええええ!
ヒャッハァァァアアアアアア!!」

感情が爆発して言葉が荒ぶる。
鍔迫り合いを続け、全力で叫びながら脳が沸騰するのを感じる。
怒り、憎しみ、悲しみ、悩み、苦しみ、葛藤……感情の波が抑えられない。

瞬間、世界が白く染まった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
23Res/33.36 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice