過去ログ - 姫川友紀「好きって気持ち、少しまえ」
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◆saguDXyqCw
2016/09/14(水) 00:42:27.53 ID:Gp4ENr9z0
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上京したばかりの頃、あたしはドキドキしていた。
ワクワクだったかな。
どっちが多かったんだろう。たぶん、半々。
何度も新幹線を乗り換えて、やっと着いて、それからお兄ちゃんの後についていって。
人も電車も目が回るほどたくさんあって、どれに乗ればいいのか少し迷ったりもして。
やっと乗った電車ではドアの前に立った。そこから見える景色に目を輝かせた。
街がどこまでも途切れなく続いて行って、この街の一員になるのかってワクワクして、ドキドキした。
あれからだいぶ経って、そんな頃の自分を笑える位にはこの街になじんでいた。
あの時と同じように、あたしは電車の扉のそばに立って、流れゆく景色を見ている。
ビルのばかりの街並み。最初の高翌揚感も、今じゃ退屈に置き換わった。
焦点をドアに反射する自分に合わせる。
首からは昨日貰った誕生日プレゼントのペンダントが提がっていた。
今の自分の姿は、都会の人間なのだろうか。
来たばかりのころ、繁華街のショーウィンドウに窓に映る自分を見て、あたしが都会の風景に交じっているのが不思議に感じたりもした。
その感覚は、今でもたまにある。
(あ、枝毛)
先端が二つに分かれた髪の毛をくるくる回していると、目的の駅にたどり着いた。
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