過去ログ - 【デレマスSS】あなたの温度【藤原肇】
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25:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/16(金) 00:04:03.32 ID:k9lsX6G10
「そうだなぁ、じゃあ俺もそれに倣おうか。何かしてほしいことはないか?」

そう言われた時、思い浮かんだのは実家で寝込んだ時のことだった。

「…手を、握ってくれませんか?」

「お安い御用だ」

そっと差し出した私の右手と、一回り大きなPさんの右手が繋がる。

「実家に居た頃、寝込んだ時には母がこうやって手を繋いでくれていたのを思い出して…ふふ、Pさんの手、ひんやりしてます」

「肇の手が熱いんだよ、やっぱりまだ少し熱があるみたいだな」

「そうかもしれません。あとですね、おじいちゃんは『体温計はあてにならない』なんて言って、様子を見に来た時にはいつも額に手を当ててくれたんです」

「分かった、これでいいかな?」

前髪をそっと避けて、額に左手を当ててくれるPさん。髪を洗ってくれた加蓮ちゃんには今後改めてお礼を言わなくちゃ。

「ありがとうございます…少しこのままで、いいですか?」

「ああ、いいぞ。満足したなら言ってくれ」

少し冷たいPさんの手に、私の熱が伝わっていく。

触れているところから体温が溶け合っていくような感じが、小さい頃から好きだった。

薬の効果もあるのだろう、うつら、うつらと、瞼が重くなってくる。

「満足するまでしてもらっていたら、Pさんが帰れなくなっちゃいます…」

「あー、確かにそれは困るな」

「だから、あと、ちょっとだけ…」

「ああ、分かった」

Pさんの優しい声を聴きながら、するりするりと意識は溶けていった。


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