29: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/09/20(火) 03:03:25.74 ID:uFf99hn+0
今度は、放浪者が以前WWPから逃走時に作成した槍――その後、更に柄を短くしたもの――と、ホイッスルを取り出して思い切り吹いて、ゆっくりと近づいていく。
メンバーを待ってから処理するのが、確実で安全かもしれない。ただ、記者としての好奇心なのか、始めてみるその存在を調べるような気持ちで近づいている。もしかしたら、この陽気な晴れ間に引き寄せられたのかもしれない。
互いに2、3歩近づけば触れられる距離まで近づく。鈍重に見せかけて素早く動くことを想定して、その位置で西切は止まる。相手は、ゆっくりと右腕を上げてそのまま振り下ろしてくる。重いが、動きが見えるその攻撃を片足を動かすだけで避け、隙だらけの背中に両手を添えてそのまま塀へと突き飛ばした。
尖ったクリスタルが塀に食い込む。だが、割れることはなく、変異体の身体についたまま塀から引き抜かれる。つまり、どうあってもこのクリスタルを破壊することは、なかなかに困難だということだ。それこそ、佐原のヘビーハンマーといった鈍器類で殴りつけるか、あるいは大口径の銃弾を叩きこむか。
ただ、まだ1つ確認したいことが西切にはあった。大口を開けてこちらにやってくる変異体の口に、思い切り槍を刺しこんでやると、ガツンと言う抵抗があった後、後ろへ倒れこんだ。貫通はしていない、しかし動きはしなくなった。
一陣の風が舞い、放浪者がサンダーボルトで一番乗りに到着した。何も言わず、西切と新たな変異体を見て、静かに頷く。
「あはは。倒せちゃいました。お騒がせして申し訳ないですー」
笑ってから、軽く舌を出して意味もなく西切は誤魔化した。
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