893:ブレイクタイムでもなく本編に関わりは多分ないと思う幕間 ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/03/17(金) 02:12:17.23 ID:AFxbR/nZ0
『認められないなら』
「異教徒共を滅ぼす準備は出来た」
こびりつく歪んだ笑み、瞳は当たり前のように狂気を宿して、高鳴りを抑えられないように全身を震わせる。薄汚れた白衣がはためき、細い手足もやつれからくる病的な細さを覗かせる。それでも、彼女は楽しそうだった。
WWPのプロジェクトに関わる者の多くは、もしかしたら憎しみに捕らわれているのかもしれない。彼女もそうだが、もはや何が憎かったのかも、覚えていないだろう。もはや全てを憎んでいる彼女にとって、それは些細な事と言えた。
強化ガラスの向こう側に、彼女の生み出した研究結果が蠢いている。大きさは小型犬程度か、胴は棒に伸びてそこに六本の脚があり、背に当たる部分は透明な羽が高速で動いている。目は複眼になっていて、口はカマキリのように食いちぎるのに適している。昆虫、そうは思えるが、その姿はいろいろな生物をパーツに継ぎ接ぎしたような不出来さだ。
「行きなさい。全ての異教徒を殺しなさい」
スイッチが押され、その異形の生物は外に解放されていく。満足げに彼女はその光景を見て、また折れるように身体を震わせながら笑う。
これは始まり。外に死臭を纏う人間達が無数にいる。彼女が生み出した異形の存在は、それらを排し、そして普通の人間達も屠ってくれるだろう。それを思うと、彼女の興奮は増していく。そして、その興奮度合いに反比例するように、彼女自身の活力は失われていくようだ。
まだ、今放った使者達だけでは思い描くことを実現するには程遠い。そう思うと、これからの研究は辛くも楽しいものになる、まだ繁殖能力に難がある彼らを完全体とすれば、異教徒を滅ぼすことは容易い。
まずは手始めにこの土地から始め、アジア、オセアニア、中東、ヨーロッパ、アフリカ、南アメリカ、そして北アメリカ。全ての異教徒を根絶やしにする。笑いがこみ上げるのを彼女は感じていた。
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