950:名無しNIPPER
2017/04/09(日) 01:36:35.97 ID:0WoBOX480
「お願いだから放っといて。もうこれ以上関わらないでよ。ねえ、わかるでしょ? あなたの人生狂わせたくない、あたしのせいで未来を捨てないでよ、お願いだから」
「なんでそんなに頑固なんだよ。俺の人生は俺が決める。なんでお前のせいだなんて言えるんだよ。俺は、お前をこのままにしておけない。後悔するってわかってるからだ。それでいいじゃねえかよ」
「ダメよ。お願い、わかって。あなたは物珍しい女に同情して惑わされているだけ。そんな一時の幻想で決めないで。ちゃんと先を見て、お願いだから」
「同情から入ったからなんだよ。可哀想だな、悪いことしたな、って気持ちが愛情に変わったとしても、それがそんなにおかしいことかよ。守ってやりたいって、支えてやりたいって思っちゃいけないのかよ」
「ちゃんと見てるよ。一年の頃からずっと、他人ばかり大切にするとこも、気張って明るく振る舞ってるとこだって、全部、ちゃんとお前のこと知ってるよ。なのに、ほっとくなんて、無理だろう。あんな風に泣いて苦しんでるのわかったら、もう無理だろう。だから嘘吐くなよ」
「助けてほしいなんて言わなくてもいいから、俺は」
「お前を離したくない」
「どうして……」
これ以上は言っても仕方がない。勝平は美海の折れそうなくらい細い肩を抱き寄せた。元々痩せ型で小柄な彼女だったけど、こんなにも小さく儚げだったのだ。か弱くて意地らしくて、なのに何もかも背負い込もうと強がって、あの日の過ちを犯してから、泣きじゃくる彼女を知ってから、心の奥、真ん中深く深くに、もうずっと根付くのだ。ずっとずっと、いつまでも。だから絶対に離さない。彼女の言葉の嘘を見抜いてから、勝平は、彼女のために生きていくことを誓ったのだから。
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