4:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 18:23:23.58 ID:RBrPvO4M0
そうやってみくの話を聞いていた、ある日のことだった。
みくがあんまりにもアイドルのことを楽しそうに話すので、私は言った。みくは本当にアイドルが好きなんだな。アイドルに憧れているんだな、と。
いつものみくなら、ここは「うん!」とうなずくところだと思ったのだが、その日は違った。彼女はちらちらと周囲を見て、内緒話をする時のように、私の耳に口を近付けた。
「あんなー、ミケちゃん。じつはみく……アイドルになりたいねん」
みくが言った。私は驚いた。隠していたつもりか、と。
「……へ?」
誰が見てもそんなことはわかるだろう。あんなきらきらした目をしてアイドルを見ていて、隠せていたという方がおかしい話だ。
「わ、わかってたん?」
固まるみくに私は「にゃあ」とうなずく。わかっていた。
「……ほんきやで?」
それもわかっていた。そして、みくならばきっとなれるとも。
「ほんまに!?」
みくが飛び上がるような勢いで言った。既に内緒話ではなく、ご主人や常連客からの視線を浴びている。
「ほんまに……みく、アイドルになれる?」
なれるとも。私は「にゃあ」と強くうなずいた。みくなら、絶対にアイドルになれる。
「でも、みく……歌も、ダンスも、まだまだやし……」
もじもじとしながらみくが言う。珍しいな、と思った。
だから私は言った。なら、歌ってみればいい。踊ってみればいい、と。
「歌って……おどる?」みくが首を傾げる。「どこで? どうやって?」
ここで。日高舞の歌と、踊りを。
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