13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/17(土) 21:45:36.94 ID:CHRKUnfE0
(……何より望むそこへ、ではないけれど)
触れて、そして離す。
唇が触れていた、私の指から。私の唇へ触れながらプロデューサーさんの唇へも触れて、そうして二人の間に挟まれていたそこから。一度触れて、そうして離れる。
(いつかはそこへ)
(いつか私がそこへ、プロデューサーさんの最愛へ至れたなら)
(そのときはそこへ口付ける。口付けたいこの想いのまま、すべてを込めて口付けてみせる)
(……だけど)
(だけどまだ、今はまだ、そのときじゃないから)
だから、まだ。
近付くだけ。限りなく、隙間なく、触れて至るその最後の一線の手前まで近付くだけ。
唇に感じる自分の指の感触。指に感じる柔らかで温かな濡れた唇の感触。それに、身を満たす満足と身を震わす不満とを感じながら。
近付いて、けれど触れず、ここまで。
堪らない――抑えられない、抱いていられない、そんな想いを無理矢理なんとか飲み込んで。
そうしてここまで。ここまでだけ進んで、ここまでで終える。
口付け。愛おしい唇への、口付けを。
「……プロデューサーさん」
「大好きな大好きな、私のプロデューサーさん」
「まだ届かない、私の愛おしい人」
胸は胸へ。お腹はお腹へ。腰は腰へ。足は足へ。そして、顔は、顔へ。
同じように同じ部分を同じ場所へ乗せて、触れさせ、重ねて。
腕だけは上へ。目を閉じたプロデューサーさんの顔の横、そこへ降ろし、そうして両手で頬を包みながら。
そうしながら――プロデューサーさんと重なり、包んで、一つになりながら。そうしながら、言う。
囁くようにそっと。必ず届くようにはっきりと。この想いのすべてが伝わるように心を込めて。
閉じた瞼の奥を見つめながら、言う。
「大好きです」
「プロデューサーさん。私は、貴方が」
「好きで、大好きで、愛しています」
「何度でも何度でも、何度だって重ねて言います」
「愛しています」
「重ねて言い、重ねて抱き、重ねて想います」
「何度だって。幾重にも、幾度にも、重ねて貴方を愛します」
「――そして」
「そしていつか。いつの日か必ず」
「そうして重ね、積み上げた果て、必ず貴方の最愛へまで届いてみせます」
「だから。――だから、プロデューサーさん」
「私がそこへ届いたなら。貴方の隣で輝く、貴方にとって何より愛おしいシンデレラになれたなら」
「そのときには、私を」
「私を――貴方のお嫁さんに、してくださいね――?」
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