3:名無しNIPPER[saga]
2016/09/17(土) 21:55:36.93 ID:Sa18P+fH0
親父は故郷で中古車販売の店を持っていて、三十いくつの時にはすでに店を始めていたのだから、立派なものだろう。
そのせいで俺と兄貴の二人を育てるには少し貧乏だったが、気の強いお袋の横でいつもニマニマと安酒を呑む親父は、楽しい人生だったのだろうな、と思う。
生まれてこのかた、あいつが素面でいた夜を知らないのだから、その酒好きは相当なものだった。
どれだけ深酒しても決して暴れず、騒がず、お袋の尻を叩いて遊ぶ親父が、俺は好きだった。
歳を重ねるごとに膨らむ腹まわりと広がる目の隈が、まさに狸親父であることを表していた。
赤いちゃんちゃんこが似合うようになっても、テレビのアイドル番組に目を通しているから、若い女が好きなのかと訊いたら、やはりニマニマと安焼酎を飲んだ。
どうやら性欲も狸並みだった。
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