過去ログ - モバP「週の半ばの燃えない煙草」
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18: ◆30lx83ehPU[saga]
2016/09/23(金) 12:04:25.96 ID:Ntvj8yobO
「Pさんが泣かないからだよ」
「俺は大人だ。泣いてる暇はないんだよ」
「私だって泣きたいから泣いてるんじゃないよ」
「じゃあどうしてだ」
男はそう聞くが、答えは分かっていた。
彼女は自分のために泣いてくれているのだ。
言葉通り、泣かない自分のために泣いているのだ。
そう思うと、確かにほんの少し、救われた気持ちになる。
「Pさんは神様なんかじゃないから。だからだよ…心配だから」
少女は嗚咽を漏らしながらそう言った。
男は、周囲に自分たちの他に車が無いことを確認してから、エンジンを切った。
「裕美」
名前を呼ばれた少女は俯けていた顔を上げる。
背もたれに身体を預けている運転席の男と目が合った。
「ありがとう」
目元に深い隈を刻んだ男は、僅かに笑ってそう言った。
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