過去ログ - 花丸「今日も練習疲れたなあ…。」
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32:名無しNIPPER[saga]
2016/09/21(水) 02:20:42.28 ID:M3FiOxds0
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それから数日、自分は毎日梨子の家に通っていた。
楽しいけれど重たかった放課後が、羽をつけてふわりふわりと浮いていく。
練習も好調だった。
満足に本を読めている、ただそれだけのことで身体が軽かった。
毎朝本の世界の夢を見ながら目を覚ます。
昼休みにはルビィと善子と楽しく話す。
精一杯練習し、その後梨子と本を読む。
少し前まで感じていた疲れや怠さが、嘘のようだった。
そう話すと、梨子は嬉しそうに笑った。
梨子「それはね、きっとバランスが取れたんだって、そう思うよ。」
花丸「バランス?」
梨子「うん、バランス。」
梨子はそれだけしか言わなかった。よくわからなかったので、気になっていたことを聞いてみた。
花丸「梨子さん、どうして先週、あんなに本が読めてたずらか?千歌さんと曜さんとお出掛けしてたんじゃ…。」
梨子「え、ううん。本を読んでたのはね、千歌ちゃんと曜ちゃんのお誘いを断ってたからだよ。」
花丸「え?何か予定があって断ったんじゃ…。」
梨子「ううん。予定はなかったけど、ゆっくりしたかったから。毎日一緒にお出掛けすると、疲れちゃうしね。」
何気なく梨子が言った言葉に、衝撃を受ける。
ゆっくりしたかったから?疲れちゃう?
花丸「ち、千歌さんたちには何て言って断ったの…?」
梨子「え、うーん、今日はやめとく、って言ったかなあ。」
花丸「え?」
それだけ、たったのそれだけで、千歌たちは納得したのだろうか。
梨子はそんなものだよ、と言って笑っていたが、自分は他人事ながらハラハラしてしまう。
梨子「だから花丸ちゃんも、私の誘いも断っていいんだよ?」
花丸「マルは梨子さんのおうち来るの好きずら!」
だって、ここなら気持ちよく本が読めるんだ。
梨子が読んでいいって言うから、気持ちよく。
この時間がないと、やっていけない気がした。
梨子「それならいいけど。」
また明日、そう言って梨子は手を振った。
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