過去ログ - 勇者「かつて勇者の座を競った親友が鍛冶師になっていた」
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35:名無しNIPPER[saga]
2016/09/22(木) 19:23:29.83 ID:nnizistYo

その夜、鍛冶師は一人きりで星空を見上げていた。


「俺だってそうさ……本当はあの時……」


勇者に剣を打ってくれ、と頼まれた時のことを思い返す。


「お前の顔を見た瞬間、俺の中に勇者になれなかった時の屈辱がよみがえった。
 剣に細工をして、それでお前が死んじまえばいくらか気分も晴れるだろう、と思っちまった。
 だけど、やらなかった」


ゆっくりと目をつぶる。


「なんでやらなかったのか……それは友情を大事にしたわけでも、世界の平和を優先したからでもない。
 お前なら剣の性能を念入りに試して、すぐ細工に気づくだろう、と思ったからだ。
 だけど、お前は俺のことを試さなかった」


声が震える。



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