47: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/09/25(日) 20:28:00.70 ID:d4YmaynD0
ウインナーをゆうが噛んでいる。
私の世界の中に、ゆうがちょっとずつ入り込んで来て、
南合の悦楽に歪む顔が容易に想像できて、
リズムが崩れていく。
慣れていくごとに、彼女に触れやすくなる。
触れてしまう。
ささいな会話をしてしまう。
友だちなんてそれの積み重ねで。
「あの、私、考えたの」
ゆうがお弁当を仕舞いつつ言った。
「江梨香さんて、思い詰め過ぎる。そこまで、自分を窮屈にしなくていいんじゃないかな。人が一人で考えて、できることなんて本当は1つか2つしかないんだから、後は中途半端になっちゃう時もあるよ。私たちの関係だって、中途半端になってもいいよ」
「そうは言うけど」
「本当に大切な人って、たくさんいないよね。それに、それっていつでも上書きできちゃうものだもん。子どもが親の側を離れて、好きな人と結婚するみたいに、大好きな人がいても満足できなかったりとかね」
すらすらと悲しくて、もっともな解釈を彼女は述べた。
ね、江梨香さん。小声で彼女は言った。
「始まりはあんな感じだったけどね、江梨香さんと仲良くなりたいって思ったの。だから、絶対にそれは諦めたくない……」
「どうして……」
「後悔したくないし、して欲しくないからかな……」
ゆうはゆっくりと私の手を握った。
その手は思ったよりも温かく、力強かった。
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