過去ログ - 私の世界を壊すキス
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56: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 11:40:12.25 ID:9fHQez770
無邪気に笑いながらすれ違う下級生にすら苛立ちながら、下駄箱へ向かった。
鞄を教室へ忘れたことに気付いた。

「……ああ、もう」

持って帰るのすら億劫。
外履きを脱ごうとしたとき、

「江梨香さん」

ゆるい笑顔で、ゆうが鞄を二つひっさげていた。

「……ありがと」

受け取って、もう一度靴を履き直す。
彼女と距離を取ろうとしたら、

「警戒してる?」

と探るような視線を送ってきた。

「うん」

「それでもいいから、一緒に帰りたいな」

「まだ、南合の命令で動いてた方がマシだったし」

「え」

「……ゆう、あんたも何か隠してるんでしょ。私に、何をさせたいの?」

「だから、友だちに」

「まだ言うの? じゃあ、私が先に教えてあげる。私が天子を学校へ誘わずに、ずっとツイッター覗いてるだけなのはね、南合とまた付き合わせないようにするため、他の友だちを作らせないため、私だけの天子でいさせるため……あの子が閉じこもってることで誰にも会わないことで、私が安心したいんだよ」

ゆうの肩を押して、ロッカーに押し付ける。
ガタタン、とロッカーが揺れた。

「ゆう、あんたも何か見返りを求めてるんでしょ? 言ってみたらどうなの?」



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