72: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 18:50:53.64 ID:9fHQez770
学校から徒歩およそ20分くらいの所に彼女の住んでいるマンションはあった。
付近の道を何度も通った。
ただ、インターホンを押したのは、もう何ヵ月も前の話。
「呼び出さないの?」
73: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 18:57:19.13 ID:9fHQez770
「ここ」
と、立ち止まって指差した。
果たして一度で出てくれるか。
あいつも頑固な所あるからなあ。
74: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 19:17:49.75 ID:9fHQez770
ゆうはもう少し人を疑った方がいいわ。
「あのー、私、同じクラスの杉原なんですが……」
二言三言交わして、ぺこぺことお辞儀をする。
75: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 19:40:14.43 ID:9fHQez770
天子の部屋には鍵がついていなかった。
なので、入ろうと思えば無理やり突入することもできた。
おばさんはそれを理解していながらも、私とゆうだけ残して、奥に引っ込んでしまった。
「天子……?」
76: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 20:01:52.95 ID:9fHQez770
暫くゆうの話を聞いて、合間に何度か天子を呼んだ。
1時間ほど待ったけれど、出てこないので、その日は諦めることにした。
「天子、今日は帰る。また、気分が乗ったら出てきてよね」
77: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 20:38:58.77 ID:9fHQez770
「輝いてるねえ」
前を行く彼女。
少し早い。
78: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 21:07:17.24 ID:9fHQez770
彼女の懐に、私の嗚咽と涙が吸い込まれていった。
優しい香りがした。
今まで、気が付かなかった。
ずっと、この優しさだけ吸って生きていけたらいいのに。
79: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 21:18:07.45 ID:9fHQez770
「江梨香さん、まだ私といるの嫌……?」
「そんなの」
私、この子にたくさん酷い事言ってきた。
80: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 21:59:05.11 ID:9fHQez770
2歩3歩後ずさっていく。
危なっかしい足どりで。
「ゆう……私、天子を守らなくちゃいけないの」
81: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/10/02(日) 22:25:41.67 ID:9fHQez770
どうやったら、私達は繋がったままでいれる?
彼女とのたった数歩はどうやったら埋めれる?
「江梨香さん……」
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