過去ログ - 藤原肇「Happy Endで始めよう」
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20: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2016/09/23(金) 11:55:09.71 ID:xjUUEHux0

砂利が敷き詰められた敷地に足を踏み入れると、足の裏に独特の感触と共に音が立つ。
工房や陶器の直販店も兼ねているため、相変わらずの広さだ。

玄関の方に行こうとしていたら、その隣にある物置の傍に、藍染めの作務衣を着た人影が見えた。
あの子の祖父だった。

数十分歩いていたために丸まっていた背筋が、思わずピンと伸びる。
一礼すると、むすりとした顔つきをしながら近づいてきた。自然と、身構えてしまった。

「ご無沙汰しております。突然お邪魔してしまい申し訳ありません」

唇の震えを抑えようと努めながら、俺の方から話しかけた。
しかし、祖父は開口一番、

「遅い」

「…えっ?」

「男なら、届いたその日か次の日には飛んででも来んかい」

いつ会っても口数の少ないあの子の祖父が、矢継ぎ早に言葉を繰り出す。
4年も孫を待たせおって、とか、そもそも立場捨ててでも一緒になるくらいの覚悟を持っておけ、など…
ひたすら恐縮するしかなかった。




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