過去ログ - ジュリア「夢みる歌姫と」千早「ギター少女」
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9:名無しNIPPER[saga]
2016/09/26(月) 00:16:35.11 ID:28zoD9Qao
ジュリア「一曲唄います。初恋、一章――片思いの桜」

ピックを鉄弦に向けて構える。

弦を弾く。そこから先はドミノ倒し。音を糸でたぐり寄せるように奏でていく。
しなやかなイントロが終わり、声を出す。いつものパンクス用のくぐもった声じゃなくて、クリアで綺麗な音の粒を……。

とにかく、この場所は静かだった。あたしの声と、奏でるコードしか響いていない。皆が聴き入っている。

間奏の最中、上手の舞台袖に一瞬だけ目を向ける。チハが驚き混じりの表情であたしを見ていたから、ウインクを飛ばす。

アウトロの最後の音まで、プロデューサーのアドバイスを意識していた。
自分の感覚より遅めにリズムをキープし続けて、演奏を終えた。残響、そして静寂。

ジュリア「……ありがとう」

あたしがその言葉を言うまで、ここの皆は、全員どこか不思議の国に連れて行かれていたのかもしれない。
きっと、ここがライブハウスなのだと気づいたから、この万雷の拍手を送ってくれているはず。

多くは語るまいと、お辞儀をして下手へ捌けていく。観客の表情を見れば解る……きっとあたしの歌は、胸に響いたのだと。



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