10: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2016/09/28(水) 18:26:18.47 ID:UB/pX29A0
「仁奈ちゃん、仁奈ちゃんさえよければまゆの部屋に来ますか?こんな状態じゃ帰っても大変でしょうし……」
「えっ!?いいんですか!?」
「もちろんですよぉ。それにまゆも今日は予定がなくなっちゃったので暇してましたから」
「やったー!まゆおねーさんと一緒だー!」
ぱぁっと顔が明るくなった仁奈を見て、幾分かまゆの心が軽くなる。こうして喜んでもらえれば誘った甲斐もあるというものだった。
(しかし、もしも誰もいなかったらどうなっていたのでしょうか……)
そう考えて、恐ろしい答えに辿り着いてぶんぶんと首を振る。
(やめましょう。こんな考え方は)
「あ、タクシーきたですよ!」
先程よりもずっと元気になった仁奈の声にまゆは考えるのをやめた。手を上げてタクシーを止め、開いたドアから運転手に声をかける。
「すいません、少し濡れてるんですけどタオルを敷きますから大丈夫ですか?」
「あー、構いませんよ。今日はひどい雨ですからね」
「ありがとうございます」
そういうとまゆは座席にさっきまで仁奈の顔と髪を拭いたタオルを敷いた。それも多少は濡れてはいるが仁奈が直接座るよりは被害は抑えられるだろう。
「はい、仁奈ちゃん。どうぞ」
「ありがとうごぜーます!」
「すいません、――女子寮まで」
「――女子寮まで、はい」
運転手は後部座席に座る彼女らをちらと見ると、車を走らせる。
隣でうきうきとした表情をしている仁奈を目にかけながらまゆは、小さく息を吐いた。
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