8: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2016/09/28(水) 18:25:15.38 ID:UB/pX29A0
「ど、どうしたんですか!?傘もささないでこんな濡れちゃって!」
まゆは慌てて駆け寄ると仁奈を自分の傘の内にいれる。対する仁奈は俯いており、小さな身体を震えさせていた。
「と、とりあえず拭けるところだけでも……」
「わ、わぷっ」
まゆはバッグからタオルを取り出し中腰になると、仁奈の顔を拭いてあげる。が、服全体が濡れているため一部を拭いたところであまり意味はない。
「駄目ですね……どっちみち服を着替えないと」
「だ、だいじょーぶですよ!仁奈はこれぐら、い……へ、へくちっ!」
「あ、あーあー……このままじゃ風邪を引いちゃいますね……」
こんな時に事務所が空いていればと、恨み気な視線を後ろに送るが事務所の明かりが着くことはもちろんない。
「とりあえず理由とかは後で聞くとして、とりあえずタクシーですね……」
まゆは携帯を取り出すと、登録してあるタクシー会社に連絡を入れる。
「すいません、――事務所前まで、はい。お願いします」
そのまま携帯をしまうと、呆気にとられた顔をしている仁奈の手を握って事務所入り口の屋根があるところまで誘導する。
「タクシーがすぐ来ますからね。それよりもどうしてここに?」
とりあえず着ぐるみのフードから頭を出させるとすっかり濡れそぼった髪を拭く。最初は傘がわりになっていたであろうフードも水を吸い込みすぎて逆効果になり、髪はひどく濡れていた。
49Res/48.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。