119:天津風大好き連装砲くん ◆E7idzvHwo6[sage]
2016/10/02(日) 17:41:49.32 ID:X5Ypwzoq0
黄金色の溶き卵が、一筋の流線形を描いてフライパンに注がれていった。
それは軽やかな焼かれる音を奏で、フライパンの中で渦を巻く。
不定の液体は、やがて緩やかに流れを鈍くしていき、菜箸に固まりを絡ませる。
磯風の定まりきらない想いが、自信や、誇りといった、漠然としたふわふわしたものが、一つの確実な形となって徐々に集中していくように。
溶き卵は、確実に磯風の手で料理へと変貌していった。
磯風「いける…」
じっとりと手のひらに汗が滲む。額や、背中にも、信じられないほどに雫を垂らしていった。
それはきっと、高翌揚感。すぐそこの未来に待ち受けるであろう、ずっと望んでいた光景に出会えるという、興奮の表れ。期待が具現化したもの。鬱陶しいが、嫌ではなかった。
磯風「今度こそ…」
溶き卵の姿は、もう見えなくなった。代わりにとろとろとした、別のなにかがフライパンの上で踊っている。磯風の手で作り上げたものだ。
磯風「いける…!」
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