過去ログ - 天の原ふりさけ見れば春日なる...
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15:重複レスをかましました。[saga]
2016/10/04(火) 22:49:50.58 ID:NypoJ6GT0
大和「その前に、そんなに私の場所コロコロ変えてもいいんですか?」
提督「戦艦組は艦隊の一番前で傘状に艦隊を覆ってもらう形でいくから編成もそこまで難しくはないからな」
大和「そうなんですか」
提督「変な気を起こさないでくれよ。作戦が中止になるような事は特に」
大和「しませんよ。武蔵も長門も陸奥もいるんですから」
提督「それならいいんだ。あと数時間したら出る、準備しとけよ」
提督はそうとだけ言って、背を向けてその場から立ち去っていく。
彼は大和に対して敵意を隠そうともしない。
今の会話でも、落ち着いて話してるように見えて目は味方を見るそれではなかった。
その彼の背中を見る大和の顔には、らしくもなく似合いもしない後悔の情が垣間見えた。
「質問の意図を測りかねます」
大和の本質が露見したときの、提督を怒らせた自身の発言。
自分の素性がばれたと知って、取り繕う時間を作ろうと言ってしまった言葉。
その後に続く問答で提督は言った。
「戦争を早く終わらせてやろうとは思わなかったんだな。味方なのに。どの口が言うんだ、そのくそきたねぇ味方面した横須賀鎮守府の秘書が言ってんのか?」
この発言の後に口をついて出た言葉。あれは本心だった。
「心から日本軍に味方したいと願って、戦争を長引かせたのか?」
心から日本軍に味方したいと思っていたけれど、戦争が終わった後の自分の居場所がなくなってしまうのが怖くて、戦争を長引かせた。そうやって自己を正当化していた。
でもいくら言っても信じてもらえないのだと悟るには、十年の間にあった自らの行動・結果・発言が信頼という二文字の前に高すぎる壁となるのだと悟るには、その言葉は決定的だった。
どんなに言い繕っても言い訳にしか聞こえないのだとその言葉で思い知らされた。
「十年だ。わかるか?十年だよ。何人の艦娘が死んだ?数えてないか?味方が死んでいくのは愉快だったか?」
遅れてその言葉を思い出す。
そうだ、何人の艦娘が死んだ。
自分でも笑いたくなるぐらい状況は自分に味方していなかった。
日本を助けたいなんて主張、その現実を前にしては脆くも崩れ去る。
もう信用回復は無理だと思った瞬間、ならせめてこれ以上信頼を下げてしまうような、悪印象を酷くさせるような善人者ぶり許しを乞うような発言はせず、あくまで悪役としての性格を貫こうと決めたのだ。
そうすれば、ただの裏切り者でいられる。
・・・そうすれば、偽善を被った言い訳がましい裏切り者と思われないでいられる。
つまらないからとか、面白くないからとか、故意であったとか・・・。即興で悪役を演じようと自分が言えば言うほど、隣にいる五月雨の顔が苦痛に歪むのを見て、胸が張り裂けそうだった。
提督の視線が敵意を含むのを見て、泣いて訴えたいとどれだけ思ったか。でも訴えなかった。訴えられなかった。
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