過去ログ - 天の原ふりさけ見れば春日なる...
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16: ◆cDyTypz3/.[saga]
2016/10/04(火) 22:51:54.13 ID:NypoJ6GT0
艦娘が死んだということは、提督の心にも傷が及ぶような事をしたことは、もうどれだけ言っても覆らないのだ。

もう信用は元に戻らない。

戻らない。最初の頃のような味方だと無条件で信じてもらえる状況には。

その事がひどく寂しくて、惨めで、悲しいから後悔する。

まだ提督に自分の正体がばれた段階、さっき思い出した発言を聞いたときはただ不審に思われているだけで済んでいたはずなのに。

全ては自分の南鳥島での行動が引き金になってしまった。

あれは裏切りだと彼は既に心の中で結論が出ているけれど、大和はただ彼を思ってやった行動だった。

司令拠点の防御の堅牢さを甘く見ていてはだめなのだ。敵とは極力戦闘しないで観測のみ行って退避するなんて彼は言っていたらしいけれど、そんなのできるわけない。

観測のみだなんて、観測なんてさせるわけがない。

絶対に行かせてはいけないから、軍規を犯して南鳥島を占領してでも止めに行った。提督に深海棲艦化を施したのは日本を憂える彼の手助けをしたかったから、深海棲艦の動向がわかるようにしてあげたかった。

本心だ、絶対にこれは本心だ。何に誓っても言い切れる。でも、他人からすれば聞こえのいい陳腐な後付けの言い訳にしか聞こえない。

本性が暴露されているために、事前に情報を伝えても信じてもらえないとわかっていたならどうすればよかっただろうか。

・・・知らなかったんですだなんて言わなければよかったのだ。彼の情を誘おうとして口をついてでた言葉を呪う。無理だとわかっていながらなぜ言ってしまったのか。

これさえなければ敵側の情報ながら多少信じてくれるかも知れなかったのに。

でも言ってしまったのだから、南鳥島であんなことをするんじゃなくて、発生したであろう海戦に途中参戦して自己犠牲で彼らを退避させればよかったのだ。

そうすればよかったと、激しく後悔している。

後悔しながら、提督が向かった方向を眺めた。

提督が五月雨とまた夫婦漫才をしている。

陸奥が提督に詰め寄ろうとする五月雨に絡んでいて、さっきまで武蔵を止めていた長門が今度は陸奥を止めている。

前まで一緒にいた五月雨にも、もう信じてもらえないのか。

武蔵はどこに行ったんだろう・・・。


あぁ、一人だ。


本当にそのとき、突然、実感した。

一筋の涙が目から溢れる。

涙がこれ以上出ないように必死になりすぎて、隣に武蔵が立ったのにも気づけなかった。

大和「あら、どうしたの?武蔵?」

涙を拭いて、武蔵に笑顔を向ける。


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