40:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:31:45.48 ID:6BNWGd8K0
「その語源ってさ、誰そ彼って言うんだって。夕方は、昼でも夜でもない時間。人の輪郭がぼやけて、彼が誰だか分からなくなる時間。人ならざるものに出会うかもしれない時間……逢魔が時とも言うよね。糸守じゃあ、かたわれ時って言うんだけど」
「……かたわれ時」
「うん、高校の時の国語の先生が教えてくれたの……なんか思い出したから言っちゃった」
急に変な事言ってごめんね、と笑うと、三葉はもう一度夕焼けに視線を戻した。
「本当に、綺麗……」
そう言って、夕焼けを見つめる三葉の顔は、本当に綺麗で。
俺は夕焼けよりも三葉に見とれていた。
その大きな瞳も、きめ細やかな肌も、さらさらで思わず触りたくなるような黒髪も、全てが、美しすぎて。
三葉をどれだけ見つめても飽きないんだ、本当に。
そりゃあ、恋人補正もあるかも知れないけど……
三葉と共に夕焼けを見つめる。
昼でも夜でもない時間。
黄昏時。
逢魔が時。
かたわれ時。
……人ならざるものに出会うかもしれない、時間。
もう一度三葉を見つめる。
その顔も体つきも声も仕草も香りも性格も、全部、全部が俺にとっては素晴らしすぎて、俺好みすぎて。
だからちょっと、俺は時々怖くなるんだ。
明日朝起きたら、三葉は隣に居なくて、今までのは全部幻影で幻想で、俺の都合のいい妄想だったんじゃないかって。
好きすぎて怖いんだ。
三葉はもう、俺の中じゃあ絶対に居なくちゃいけない存在。
そう、まるで三葉は俺の片割れ。
だからもし、三葉がいなくなったら、俺は、俺は……
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