7:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:00:02.53 ID:6BNWGd8K0
緊張は最高潮に達した。
しかし……
俺たちは、お互いに何でもないような顔をして、すれ違った。
すれ違った。
……おい、しっかりしろ、瀧。
ここで、もし彼女に声をかけなかったら、次に彼女に会える保証は、どこにもないんだ。
ドキドキを超えて、バクバクと高鳴る心臓。
それに身を任せて、俺は口を開いた。
「あの……! 俺、君の事、どこかで……!」
俺が声を掛けると、彼女はすぐに振り向いた。
まるで俺の言葉を待っていたみたいだった。
彼女は感極まったような表情をして、涙を流し、そして顔をくしゃくしゃにした笑顔になって、こう言った。
「……私も」
――ああ。
その声を聞いた時、心の中でガッツポーズした。
あの感覚は、衝動は間違いじゃなかった。
俺は、俺たちは。
「「君の、名前は?」」
――きっと俺たちは、ずっとずっと、お互いを探していた。
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