13: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:15:13.28 ID:7ab73rSh0
「でも、自分でも何でかわからないんですよ。時子様を疎かにしてるつもりなんてないですし」
「アァン?」
「い、いえ、あの、もしかすると、あれかもしれないです。法子はほら、まだ13歳ですし、頼りないところがあるじゃないですか。だから俺がちゃんとしてなきゃいけないっていうか。でも時子様は――」
「はあ? だから何? そんなのが理由になるわけ? 仮にも貴方はプロデューサーでしょう? 私にぶひぶひ従ってるだけで良いと思ってるの?」
「えーっと、あの……ぶ、ぶひぃ」
珍しく私が人間として相手してやってるのに、豚に戻ってしまった。どうしようもない豚ね……。
いつもなら鞭を連打しているところだけれど、運転中の相手に鞭を振るうわけにはいかない。
「あっ! 着きました! 会場に到着しましたよ、時子様!」
「……言われなくても見ればわかるわ」
停車したリムジンから降り、アスファルトを踏む。
――まぁ、ひとまずこの話は保留ね。
昨日のうちに台詞は全て頭の中へ入れておいた。
候補となる役柄全て(不本意だけど通行人A含めて)、演技も完璧に仕上げてある。
今更、慌てて準備するようなことはない。
けれど、精神が揺らいでは元も子もない。
私は財前時子。私は勝利する。
鋭い視線で会場を睨み付け、鋼の魂で戦場に臨む。
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