過去ログ - 鷺沢文香は恋を読む -SS速報VIP

過去ログ - 鷺沢文香は恋を読む

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20: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:33:58.82 ID:W0j7LR0q0
文香はそう言って机の引き出しの奥、原稿用紙の束に隠されていたスペースから一冊の厚い本を取り出した。

「その本が、なんだっていうんだ……？」

戸惑う俺に文香も困った顔をする。

以下略

21: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:34:40.28 ID:W0j7LR0q0
冒険の書。

俺が子供の頃遊んでいたゲームにでてくる、いわゆるセーブのシステムだ。

冒険の書に記録をしておけば、ゲームの電源を切ってもまた記録をした時点からやり直すことができる。

以下略

22: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:35:19.91 ID:W0j7LR0q0
「……私はこの不思議な日記を読みながら思いました」

「……もしこの日記のように、あの始まりの日から先がまだ真っ白であったのなら」

「……これから自由に文字を書き込めるスペースがあったのなら」

以下略

23: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:35:54.62 ID:W0j7LR0q0
「……はい。正確にはその時戻りたいと願っていた……日記の最後に記された日です」

「……この本は過去に戻れる本でした」

「……この本を持ちながら、戻りたい日を思い浮かべます」

以下略

24: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:36:24.29 ID:W0j7LR0q0
「願いは叶いました」

「ある時は、誰よりもカワイイと自信を持つ女の子と恋に落ちるように誘導したり」

「またある時は、ボーイッシュな女の子が貴方を男性として愛するようになるまで何年か待ってみたり」

以下略

25: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:36:54.72 ID:W0j7LR0q0
恍惚とした表情で語る文香の言葉一つ一つが頭を殴るような痛みを与えてくる。

つまり、どういうことだ。

文香は俺がアイドルと恋愛する様子を見たいがために、何度も同じ時間を繰り返していたというのか。

以下略

26: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:37:30.65 ID:W0j7LR0q0
文香は俺の言葉に目を見開き、少し俯く。

その仕草に俺の知る鷺沢文香を見つけた気がした。

気がしたが、それは間違いだったとすぐに気付く。

以下略

27: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:37:58.60 ID:W0j7LR0q0
「……貴方と恋愛した日々は面白いものでした……自分で体験したからでしょうか」

再び視線を上げた文香の台詞は楽しんで読んだ本の感想で。

「……文章に起こす際に、日記みたいにならないよう注意しなくてはいけませんね」

以下略

28: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/10/05(水) 20:38:26.93 ID:W0j7LR0q0

「お待たせしました文香さん。何を書いているんですか？」

以下略

29: ◆8ozqV8dCI2[sage saga]
2016/10/05(水) 20:39:16.93 ID:W0j7LR0q0
以上です。

30:名無しNIPPER[sage]
2016/10/05(水) 20:42:45.88 ID:8G5UPig70
次はありすか・・・、乙

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