過去ログ - 渋谷凛「冷蔵庫に入れてあったはずのプリンがない」
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17: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2016/10/06(木) 01:25:52.12 ID:+hfZpNLO0

◆ ◇ ◆ ◇ ◆



ぴぴぴ、と携帯電話が私を呼ぶ。

画面には『最寄、着いたよ。もう10分もかからない』のメッセージ。

それを見て、私は鍋の中に、パスタの麺を入れた。

キッチンタイマーをセット。

予め作っておいたソースを、弱火で少し温める。

ドアの鍵が、がちゃっと開く音がして、その少し後でキッチンタイマーも鳴った。

茹で上がった麺をソースと絡めて、お皿に盛りつける。

それをダイニングテーブルに2つ分並べて、その間にサラダ。

フォークを並べ終えると、スラックスのおしりで濡れた手を拭くあの人が洗面所から出てきた。

「お、今日はカルボナーラか」

「もう、ちゃんとタオルで拭きなよ」

「んー」

「それじゃ、食べよっか」

「ああ」

「そういえば、カルボナーラと言えば、昔一緒にイタリアンに行った日、覚えてる?」

「ああ、そんなこともあったな」

「何で行くことになったか、それも覚えてる?」

「俺がプリンを食べたから」

「そ。そのとき、貴方が言ったセリフ、まだ覚えてるからね?」

「え、なんか言ったっけ」

「取られたくないんなら名前でも書いとけよ」

そう言って、ペン立てから、マジックを1本取り出して、キャップを開け、あの人に近づく。

「動いちゃだめだよ」

きゅっ、きゅっ、きゅっ、と彼の頬に一文字。『凛』と書いてやる。

「これは、絶対取られたくないからね。ふふっ」



おわり



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