11: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:34:17.38 ID:KohKIjyCO
乃莉「2つはいらないもんね」
なずな「うーん……」
乃莉「え、もしかして両方買うの?」
12: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:36:18.54 ID:KohKIjyCO
ぽこぽことお湯が沸騰する音に気づいて、はっと現実に引き戻された。
カップを買ってからもうだいぶ経つし、乃莉ちゃんと2人で使ったことだって何度もある。
それなのに、どうして今日はこんなことを思い出したんだろう?
ティーバッグに沸かしたてのお湯を注ぐと、紅茶のいい香りが辺りに漂いはじめた。
13: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:38:20.47 ID:KohKIjyCO
乃莉「でさ、花火大会の話なんだけど」
なずな「そういえばそうだったね、花火大会ってもうすぐなんだっけ?」
乃莉「今日」
14: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:44:41.77 ID:KohKIjyCO
花火のスポットかあ。
乃莉ちゃん、友達と約束してたりするのかな。
そんなふうに考えながら、前に行ったときのことを思い出して答える。
15: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:47:14.12 ID:KohKIjyCO
乃莉「なずな、今日これからヒマ?」
どきん、と胸が鳴るのを感じた。
16: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:48:00.08 ID:KohKIjyCO
乃莉「なずな、なんか嬉しそう」
なずな「そうかなあ?」
17: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:49:14.51 ID:KohKIjyCO
……そっか。どうして今頃になって、カップを買ったときのことを思い出したのか分かった。
話したいことがいつだってうまく言えない私に、いつだって乃莉ちゃんは真っすぐな言葉をくれる。
今日も、あの日も。そんな乃莉ちゃんに私は手を引かれてばっかりだ。
18: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:37:47.71 ID:KohKIjyCO
日が暮れ始めた頃、私たちはひだまり荘を出た。
てくてく歩いて、花火の見える場所を目指す。花火大会の会場に近づくにつれて浴衣を着た人も目に付くようになった。
ともり始めた街灯が色とりどりの浴衣を照らして、だんだんと街が華やいでいく。
19: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:38:52.01 ID:KohKIjyCO
なずな「浴衣来てる人、多いね」
乃莉「うん。ねえ、なずなって、浴衣持ってる?」
なずな「浴衣……は持ってないなあ。乃莉ちゃんは?」
20: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:39:50.92 ID:KohKIjyCO
なずな「あ、確かここを上がってくんだけど」
乃莉「……結構登るね」
なずな「うん……」
21: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:41:22.47 ID:KohKIjyCO
空を見上げると、満月が静かに銀色の光を放っていた。
乃莉ちゃんが携帯を出して調べものを始めた。私もその画面を横からのぞき込む。
そのとき、空が光るのを感じた。はっとして上を見上げると、今度はドンという音が響いた。
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