過去ログ - 白菊ほたる「幸せ願う」クラリス「笑顔の偶像」
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◆kiHkJAZmtqg7
[saga]
2016/10/13(木) 22:38:54.80 ID:mzegZ2Br0
「ほたる、この事務所での初仕事が決まりました」
新しい事務所に所属することが決まって、寮の引越しだとか、そういったいろんな手続きも落ち着いて数日。
安堵と小さな不安を運ぶ知らせが、プロデューサーさんの口から届いてきた。
お洒落で、よく紅茶の上品な香りを感じるこの事務所に恐縮することも少なくなったし、ちょうどいいタイミングなのかな。
「どんなお仕事ですか?私、精一杯やらせて頂きます!」
「ええ、それでは順を追って説明しましょう。まず、あるアイドルとユニットを組んでの仕事になります」
「はい。えっ……と、ユニットですか?バーターとかじゃなくて」
「ユニットで間違いありません。2人ユニットで、ミニステージでのパフォーマンスをお願いします」
それは初仕事にしては余りにも破格だった。
先輩のアイドルのアシストじゃなくて同じ高さで、しかもステージだなんて。
「私には荷が重く……ないですか?」
「何事も挑戦。それにあなた1人が背負うものでもありませんよ」
「そう、ですね。じゃあ、私がどんな人とユニットを組むことになるのか、教えて頂けると嬉しいです」
共演者、という言葉は私にとって少し怖くもある。
以前のことがトラウマ……とまではいかなくても、やっぱり胸を締め付ける感情は消えないから。
だから、うまくやっていける人がいいとか、私はあんまり映えない方だから華のある人なのかな、とか。
そんなことを想像していた。
「ああ、あなたも知っている人、と言ってしまえばそれはもう答えですね。今日はまだこの場所に来ていませんが……」
ぎゅうう、と。大切な場所が強く強く握られたように痛む。
心当たりなんて1人しかなかった。
この事務所で今まであの人以外の誰にも出会っていないとか、そういうわけではないけど。
私が明確に知っている人は、たったひとりだけ。
でも、認めたくない気持ちがあって。
「っ……それ、は」
「ええ。これは、クラリスからの申し出でもあります」
クラリス、さんが……?
それは不思議な感覚だった。
納得しているような、信じられないような、信じたくないような。
浮かぶのは、クラリスさんの表情。
優しげに、そして悲しげに。
ぐるぐると回って、最後に、見たことのない表情が想起されて、恐ろしくなって。
「ごめんなさいっ……それ、だけは。どうか、別の方とのユニットに…………!」
差し伸べられたはずの手を、払いのけた。
だけど、それでも。
「それを望むのであれば、クラリスにも、あなたの口から直接伝えてください」
「ぅ…………」
「伝えた通り、これはクラリスの希望です。あなたがそれを望まない理由を、誰よりも聞くべきは彼女なんです」
「………………わかりました」
自分だけ楽な方に逃げることは、もうできないみたいだった。
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