5:名無しNIPPER[saga]
2016/10/18(火) 23:24:32.12 ID:snFV7Fpq0
息、舌、指。
私の体が紡ぎ出す、二百年以上も昔に記されたメロディ。
それは、いつもと変わらず、美しく流れていきました。
いつもと変わらず――ただし、私の前を。
さながらスクリーンの上の出来事でした。私がそれを奏でているのに、そこに私はいないのです。
抑揚も、ビブラートも、些細なニュアンスも、全て私が狙って出したのに、現れた音は、描かれた世界は、私の身体を震わせてはくれませんでした。
壁を隔てたように遠く、音楽と私は一体感を欠いていたのです。
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