10: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:04:16.93 ID:O4qi00qi0
輿水さんのバンジージャンプチャレンジが終わって、しっかりアイドルらしい活動になったのは衣装騒動から二ヶ月後。梨沙の衣装のデザインが決定した頃だった。
デスクにやってきた梨沙は明るく言う。
「アンタもやるときはやるのね。幸子、喜んでたわよ」
「いや、俺はなにもしてないよ。元々、知名度を上げるためにやってたらしいんだ。たぶん、早く売り出してあげたかったんだろうね」
「ちゃんと幸子のこと考えてるのね!」
「だな。たった数ヶ月で驚くほど人気になったもんな」
「他人事じゃないでしょ? アンタもアタシのことちゃんと考えなさい! それで衣装はどうなったのよ」
落ち着かない様子でデスク上の書類に視線を行ったり来たりさせる梨沙。俺はわかってるよと応えて、二枚のA4紙を手渡す。
「考えてるよ。だから、ほら今回はこんな感じ」
決定した衣装のイラストを見て、梨沙はカワイイと声を漏らしていた。
「これで決定。近いうちに完成するから、そうしたら合わせな」
パッと顔を上げた梨沙の瞳はキラキラ輝いていた。喜んでもらえたようで安堵する。
「感想は?」
「カワっ……」それでも素直になれない梨沙は頬を赤らめて、そっぽを向く。「ま、まあ、アンタにしてはやるじゃない!」
「ありがたき幸せ」
衣装は梨沙の言葉を採用して、前の三案を合わせ布地を増やして大人っぽく、そして可愛らしくまとめた。梨沙の目指すセクシーさと年相応の可愛さを押し出す、いい衣装に仕上がったと思う。
梨沙は再びA4紙に視線を落として、口許を弛めた。よほど嬉しいらしい。デザイナーとしっかり話し合った甲斐があった。
「パパさんにも可愛い姿を見せてあげよう」
「アタシはなにを着ても可愛いし、セクシーなの。パパにも、ついでにファンにも見せつけてやるわ!」
にっと歯を見せる梨沙はやる気満々だ。この調子なら人気だってもっと出るだろう。
「頑張ろうな!」
「当然でしょ!」
梨沙はまだまだ歩き出したばかり。笑って喜んで、そしてキラキラと輝くアイドルにしようと、改めて俺は決意したのだった。
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