過去ログ - モバP「日常の一コマ」
1- 20
2: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 17:51:39.32 ID:O4qi00qi0
1.夏のきらめき

 恨めしそうな目も実に可愛らしい。俺は見当違いな感想を抱きつつ、奈緒の持つ企画書に視線をやった。

「どういうことだよこれ! なんであたしの名前があるんだ!?」

 奈緒の声がプロデュース室に木霊する。昼休みということもあって、部屋には俺の他にプロデューサーがひとりいるだけ。しかもそのひとりは奈緒のプロデューサーで、俺の後輩である。

 いくら騒いでも問題はないのだが、元気だなぁと思ったり。歳を実感してすこし落ち込んだ。

「いや、夏だし水着の企画があってもおかしくないだろ?」

「そーだけど! ……いや違うって、あたし! なんであたしの名前があるのかって訊いてるんだよ!」

 右手に掴んだ企画書をぐいっとこちらに押しつけてくる。俺はそれを受け取り、んーと唸る。なんでって言われても難しい。見てみたいからは理由にならないのだろうか。

 企画書は学校のプールを借りた、水着の撮影についての内容だ。直談判しにきている神谷奈緒の名前と、俺の担当である若林智香を含む数名のアイドルの名前が記されている。社内でもいくつか水着の企画はあるから、奇を衒うかと考えてみたが、こうも反対されるとは。

 ため息をつく。もう企画は通してしまったし、変更手続きは面倒だ。まあ、やめろと言わないあたり、奈緒も理解しているのだろうけど。

「そりぁなあ、お前のプロデューサーに許可もらったからとしか」

 奈緒は俺の左斜め前の方に座る、担当プロデューサーに顔を勢いよく向ける。ウェーブのかかった背中に届く長い髪が視界を舞った。こちらからは見えないが、きっと睨みつけていることだろう。後輩は露骨に視線を逸らしていた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
25Res/29.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice