22: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/10/19(水) 18:45:58.81 ID:O4qi00qi0
「どうです! これが大人の魅力です」
しかし、本人はご満悦だった。千枝ちゃんもおおーと感嘆の声を上げる。もうなにも言うまい。
続いて千枝ちゃんが右手を上げた。
「二番、佐々木千枝いきます」
「どうぞ」
千枝ちゃんは若葉さんと同じように俺の正面に立つ。そしていじらしく、祈るように胸元で手を組み、頬を朱に染めて上目遣い。照れているのか、瞳は潤み輝く。
「…………」
たじろぐ。これは……。
「……千枝、悪い子なんです。だから……いい子にしてください」
「優勝」
背徳感とか罪悪感とか、大人らしさとは関係ないけど、むしろ大人らしさを手に入れたらと考えると末恐ろしいものがあった。
「えっ、えへへ、嬉しいです」
「えー、ま、まあ、今のには勝てませんけどぉ」
嬉しそうにほほ笑む千枝ちゃんと、がっくりと肩を落とす若葉さん。大人ってなんだろうと、苦笑い。
「今日は定時に上がるから、あとでスイーツでもご馳走するよ」
まあ、ふたりが楽しんでいるのならそれでいいか。喜ぶふたりを眺めてそう思う。
今日も事務所は平和です。
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