過去ログ - まゆ「拝啓、忌まわしき過去に告ぐ絶縁の詩」【偶像喰種・外伝3】
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6: ◆AyvLkOoV8s[saga]
2016/10/19(水) 21:49:31.42 ID:8P++sGj10

仙台にはまゆと同じ"喰種"がほとんどいません。

だから争いもない代わりに、お友達になってくれる"喰種"にも、運命の人と呼べる"喰種"にも出会えませんでした。

まゆの周りは人間ばかりで、"喰種"のまゆは独りぼっちでした。


……運命の人。

まゆがそれを望むのは、贅沢だって分かってます。


普通にお勉強をして。

普通に就職して。

普通に人間ごっこをして。


本当ならろくに長生きできない駆逐対象のまゆにとっては、それで十分幸せなんだって分かっています。



でも、諦められないんです。


ママが話していたんです。

「ママはパパと出会ったとき、『運命の出会い』だと思った」って。

「だからパパとまゆと一緒に暮らせて、こんなにも幸せな毎日を過ごせるの」って。


まゆも、ママみたいに運命の人と出会いたかった。

ママとパパみたいに、運命の人と結ばれて、幸せに添い遂げる人生に憧れたんです。

遠くから見たパパとママの死に顔は、本当に安らかで幸せそうで。

まゆも、死ぬならあんな風に、運命の人と2人で寄り添えたらいいなって思ったんです。


仙台から離れるのも嫌でした。

だって、パパとママが出会った思い出の場所だから。

パパとママの子供として、まゆが生まれた場所だから。

運命の出会いは、ここで起きてくれるに違いないって思ったんです。


パパとママがいなくなって、寂しくなって、自分の人生の意味がわからなくて、死んじゃおうかなって考えた時も何回かありました。

それでも生きることを諦められなかったのは、運命の人と出会いたかったから。


だから、パパとママが出会った仙台で。まゆが生まれた仙台で。


ずっとずっと、運命の人がまゆの前に現れてくれるのを待っていたんです。



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