33: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/10/23(日) 09:08:19.74 ID:uhMwzG8T0
「プロデューサー?」
不意に声をかけられて、プロデューサーが我に返ったように楓の方を向いた。
「顔が、お仕事の時のソレになってます」
プロデューサーを見る楓の視線は少し冷ややかで、呆れの気持ちが混じったものだった。
……どうやら自分がこの少女のことを、この場でスカウトでもするんじゃないかと思われたらしい。
「私達がここに来た理由は?」
「仕事終わりの一杯を、楽しむためです」
まるで授業中に問題を解いた生徒を褒める先生のような調子で、
プロデューサーの答えを聞いた楓が「よろしい」と一言、満足そうに小さく頷く。
それから彼女は、そんな二人のやり取りを黙ってみていた老人の方に向き直ると、
「注文したいんですけど、メニューは何処に?」
尋ねた楓に、老人が言う。
「ウチには、団子と酒しか置んてね。……なんたって、こかァ月見屋台だかんよォ」
「月見屋台?」
楓が思わず聞き返すと、老人に代わって銀髪の少女が横から答えた。
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