49: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/10/24(月) 00:12:56.73 ID:s0PoLOR90
「凄いよね、不思議だよね。まさかこんなこと、あるなんて思わないよねー」
「き、君は、平気なの?」
「あたしは、今日二回目だから。慣れるとさ、面白いよー、これ」
緊張と恐怖で、ガチガチに顔を固めるプロデューサーとは違い、少女はいたって自然体。
笑いながらその場でクルクルと、舞うように回転して見せる。
「ホント、来てよかった。こーんな体験、普通ならできないでしょ?」
星明りに照らされた、少女の笑顔がキラキラと輝く。
「あたし今、あっちこっちフラフラしててさ。
その途中で、教えてもらったんだよね。何か凄い、お月見ができる場所があるって」
「そ、それが、あの屋台だった?」
「そっ!」
少女がお椀の中身を一口飲み、「でもね、まさかまさかだよ」
「まさかお団子食べてるところに、駆け落ち中のカップルが来るなんて!」
「か、駆け落ちぃ!?」
突拍子もない少女の台詞に、プロデューサーが素っ頓狂な声を上げた。
余りに驚いたせいで、プロデューサーの体が、少女よりも一段下に落っこちる。
すると彼女は、「違うの?」と目をぱちくりさせて。
「あんな時間に、ワケ有りそうな二人組が来るから。あたしてっきり……」
「ち、違う違う! 俺たちは本当に、仕事終わりの一杯を」
「それも周りを誤魔化す、演技だと思ってた。そっちの方が、会う人も不審に思わないじゃん」
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