54: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/10/24(月) 00:22:49.68 ID:s0PoLOR90
それは、昨夜出会った銀髪の少女。
服装も持ち物も、何一つ記憶と変わらない少女は、そのままテクテクとプロデューサーの座る助手席の傍まで移動すると、
コンコンとタクシーの窓を叩いた。……どうやら、窓を開けて欲しいらしい。
「知り合いかい?」
運転手から不機嫌そうに尋ねられ、プロデューサーが「はい、まぁ」と返事する。
「えへへ……ごめんねおにーさん」
窓を開けると、少女は屈託のない笑顔で言った。
「ここで待ってたら、会えると思ってさ。昨日は、何も言わずに別れちゃったから」
「別れたって……でも、君は……」
「言ったでしょ? あたし、おにーさんに決めたって」
プロデューサーと少女のやり取りを後部座席で聞いていた楓が、「あの、どなたなんですか?」とプロデューサーに聞く。
「私の知らない間に、声をかけた方?」
「いえ、実は……」
「そうだよー。おにーさんについて来ないかって、誘われちゃった!」
「……プロデューサー?」
「そ、そんなこと一言も言ってない!」
「えー? 甲斐性が欲しいって、言ったじゃーん」
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