15: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 15:22:12.23 ID:1dmR7XxL0
父の手を借りて船上へ躍り出たのは、華やかなドレスに身を包み、透き通るように綺麗な青い髪を先のお転婆と同様におかっぱに切り揃えた美しい少女であった。
私は生来口下手であるからあまり美人の形容はできないが、旅をして方々の人々を見てきた経験から云っても全くの美人に相違ない。これは将来が実に有望であると子供心に思った。
船に上がった彼女は周りを取り囲む大人たちの注目を浴びていることを自覚したか、顔を赤くして俯向いてしまった。
ルドマンがお礼をしなさいと促すと、気恥ずかしながらもしっかりと顔を上げて、ありがとうと太陽の如くまぶしい笑顔を見せた。
遠くからぼけらと眺めてばかりいた私はその笑顔を見て自分に向けられたわけでもないのになぜか快くなった。
その時の何だか水晶の珠を香水で暖あっためて、掌へ握ってみたようなくすぐったい心持ちは今でも覚えている。
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