過去ログ - 理樹「次に目を開けると深夜を徘徊する老人となっていた」
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名無しNIPPER
[saga]
2016/11/06(日) 00:30:11.61 ID:GWJevG9n0
灯台
理樹「………………」
理樹(沢山の日々を過ごしたあと、ゆっくりと起き上がった)
恭介「どうした……今、なんか固まってなかったか?」
理樹「心配はいらない。少し頭の中で旅をしていたんだ。以前歩んだ道を、まったく同じ時間をかけてね」
恭介「………いつもの爺ちゃんか?」
理樹「あの時のサンマはとても美味しかった。炭で焼くのが重要なんだ。皮もパリパリして香ばしくなる。余計な脂が火に落ちて、煙となって回りを覆うんだ。……ああ、そうだ、それで先週七輪を買ったんだった」
恭介「先週……ああ、ホームセンター!確かに行ってたな!よっしゃ!完璧に元の爺ちゃんだ!」
理樹「ふふっ、苦労をかけたね恭介。よく母さんにばれなかったもんだ」
恭介「俺を見くびるなよ。あんたの孫だぜ?」
理樹(気付けば空は白みを帯びていた。海の方を振り向くと、わずかに水面がキラキラと輝いている……夜明けが来るのだ)
理樹「さあ帰ろう。老体には徹夜はキツい」
恭介「ああ。車はそこに停めてあるぜ」
理樹「フッ……今、恭介に言うことが三つある」
恭介「なに?」
理樹「一つは鈴……お前のお婆ちゃんが孫に恭介と名付けた理由……寂しかったんだ。強がっていても、平気なふりをしていても兄がいないのはとても辛いことだった。だからその傷がかさぶたになるまで、近くに恭介と呼べる人が欲しかったんだ。昔、コソッと僕に教えてくれた」
恭介「おいおい、ひっでえ理由だな!」
理樹「そして二つ目。あのアルバムは上品過ぎてデザインが気に入らなかった。あとでもっと可愛い物を買い直したんだった。中身が詰まっているのは僕の机の中にある」
恭介「なるほどな……」
理樹「そして最後に所在が分からないと思ってた来ヶ谷さんだが……」
恭介「ゴクリ……」
理樹「…………ただ単に携帯を使わなくなっただけで隣町に住んでるんだ。確か来週にまた遊びに来ると手紙で言われていたな」
恭介「………は……ははは……」
恭介「あはははっっ!!」
理樹「アハハッ!!ハッハッハ!」
恭介「なんじゃそりゃ!!」
理樹(________確かに人が作るものは所詮いつか風化する。時には自分を証明するもの全てが消え失せてしまうかもしれない。だが、たとえこれまでの世界が丸々すべて別の物に生まれ変わったとしても、記憶がある限り決して恐れる必要はない。これまでの経験は、その思い出がすべて保証してくれる。それがある限り、人々は安心して明日を暮らすことが出来るんだ)
終わり(∵)
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