15:名無しNIPPER[saga]
2016/10/26(水) 03:59:25.62 ID:sqB/Yocc0
涙に濡れてぼやけた視線の先に、黒いハンカチーフが写り込んでそっとまぶたに押し当てられた。
「そんな素敵な笑顔は、今も全く変わっていません」
失礼します、とプロデューサーさんはそう言って腰を屈めると、丁寧に時間をかけて涙を拭ってくれる。クリアになった視界には、厳つい顔をした三白眼の男の人が無表情でこちらを見つめている。あたしの担当プロデューサー。アイドルでいる限り、全力で甘え、時には泣き言を言ってもイヤな顔一つしない、あたしの頼れるプロデューサーさんが目の前にいる。
「棟方さんーーアイドルでいることに疲れましたか?」
「……少しだけ、疲れたかも」
「なら、しばらくの間、アイドル活動の方はお休みしますか?」
「……ううん。もうちょっとだけ頑張ってみるよ」
泣いてスッキリしたら自然とそう答えられた。
プロデューサーさんが隣で見ていてくれるなら、もう一踏ん張りできるかも知れないと思えた。
「その意気です。私と一緒に少しずつ前に進んで……いえ、登っていきましょう」
「登る?」
「ええ、好きなのでしょう?登ることが」
「ふふっ……あたしが好きなのはやわらかーい女の子のお山に登ることだよっ!覚えておいて近い将来仕事にも反映してねっ、プロデューサーさん!」
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