13: ◆zPnN5fOydI
2016/10/30(日) 14:45:35.01 ID:JntGMmXe0
「許せない!」
満潮が机を叩き、立ち上がる。突然のことに、姉妹と明石は目を見開き型を震わせ、提督はゆっくりと目を開けた。
「自殺なんて、絶対に許せない。
過酷な世界に生まれて、日々生きたい生きたいと願う人がいる反面
、
安全で恵まれた環境下で、死にたい死にたいと叫ぶヤツ。
そんな人間が、私は許せない。その朝潮が許せない。
明石さんと司令官は、朝潮の特攻を勇ましいと思っているのでしょう。
でも私は、生きられるのに生きようとしない、その態度それ自体が許せないの!」
満潮は、外国語の講師として、国内外問わず教えている。
そこから派生して、何度か、飢餓のボランティアに参加したことがあった。
そこで見たのは、貧困で食べ物が不足し、餓死した黒く薄い死体。
生きたい、生きたい訴えながらも、病気であっけなく死んでいく子どもたち。
そんな過酷な現実を見た満潮にとって、生きているということそのものが恵まれたことであり、
自殺という行為は、言葉で言い表せないほどに、愚かで浅薄なものであるのだ。
満潮は食事を残したまま、荷物をまとめ、店を出て行った。
「私も帰るわ」
霞が立ち上がり、帰りの支度を始めた。
「五体満足で生まれ、普通に安全に生きているのに、自分で生きることを放棄する。
そんな人間が、私は許せない。私にとって、朝潮もそんな人間。
・・・こんな胸糞悪い話、聞かなきゃよかった」
霞は保育士として、幼い子どもと接している。
そんな子どもの中には、先天性の障碍に苦しむ子もいる。
皆が一人でやっていることを、自分一人でもやろうと、必死の形相で努力する。
ハンディキャップの中で必死にもがく、自分よりもずっとずっと幼くか弱い子。
そんな姿に霞は度々、心を打たれていた。
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