過去ログ - お役に立てたのなら【艦これ】
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26: ◆zPnN5fOydI
2016/10/30(日) 14:56:26.57 ID:JntGMmXe0
<【艦これ】霞の願い事>

意識が次第にはっきりとしてくる。そして、目の前の分厚い扉が開かれた。

「霞、ようこそ鎮守府へ!」

最初に私を温かく出迎えたのは、長女の朝潮姉さん。

「ようこそ。我々は君を歓迎する」

次に出迎えてくれたのは、鎮守府の司令官。私の上官。私の指揮者。

朝潮型の7番艦として生を受け、深海棲艦撲滅に向けて戦う。それが私の使命。

戦いはとても辛い。死ぬかもしれないと思うと、怖くて膝が震えてくる。

朝笑っていた人が、夜には重体でドッグ入り。そんなことは日常茶飯事。

でも、そんな中で、私は優しい姉と友人に恵まれている。

ストレスと緊張感に押しつぶされそうな時も、姉妹と友人が、心の支えとなる。

そう、私は幸せ者。

でも、そんな日は決して長くは続かなかった。

一つ下の、8番目の霰が沈んだ。

霰姉さんが沈んだのは、提督の慢心のせいと聞き、私は執務室まで走る。

当時秘書艦を務めていた人がしばしば提督の慢心ぶりを愚痴に出していたこともあり、

司令官の慢心が姉を殺したと、そう思えて仕方がなかった。

そう思うと、いても立ってもいられなくなった。

「司令官! お話があります!」

私は荒くノックをし、荒く扉を開ける。

例の異臭と、黒く赤い液体。

横たわる司令官の肉体を見て、私は全身の力が抜け、その場で座り込む。

通りかかった他の人が衛生兵を呼ぶ中で、私はただ呆然と座っている。

温かい涙が頬をつたって、服を濡らし、水たまりを作る。

どこか幻想の中にあった死という概念が、一度に私に牙を向いてきた。

私は一度に二人、大切な人を失ってしまった。

***


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